2009年09月30日

自殺したアイドル、“如月ミキ”の一周忌。

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★★★☆☆

  自殺したアイドル、“如月ミキ”の一周忌。
  男、5人
  この部屋で事件は起こる―

 映画のキャッチコピーである。これがまさにあらすじ。
 自殺したD級アイドルのファンサイトを介して知り合った5人の男が、彼女の一周忌にいわゆる「オフ会」を行う。彼女のレアアイテムなどを愛でながら進む会の最中、ひとりの男が言う。「彼女は自殺なんかじゃない。他殺だ!」 そこで事態は風雲急を告げる。

 ワンシチュエーションコメディである。三谷幸喜作品のように主に会話で魅せる。たとえば「12人の優しい日本人」(1991)、陪審員制度が導入したころちょっと話題になった映画(もとは芝居だが)がある。
 「12人の優しい日本人」は、陪審員制度がある仮想日本を舞台とした法廷劇だ。素性がまったく違う12人が、ひとりの男性の死をめぐって事件か事故か、有罪か無罪かで激論を交わすお話。結論が固まりかけると、誰かがぼそりと「でも・・・ちょっと変じゃないかな? だって・・・」などとと言ったりして話が二転三転する。舞台はたった一ヶ所なのに、なんとまあ、飽きない変化のある動きの感じる映像なのである。
 なんつって。「12人の優しい日本人」がすでに、1957年のアメリカ映画「十二人の怒れる男」という密室劇、法廷劇の金字塔のオマージュである。
 いやあ「怒れる」はいまさらなんだがすごい。実は私が映画好きになったきっかけの映画で、好きな映画を問われたらこの名前を挙げずにはおれない。

 つまり「キサラギ」もそういう密室劇。

 正直、喩えに挙げた2作品と比べると見劣りする。登場人物が少なく、どんでん返しのパターンも少ない。映画として映像的にも唸るようなものはない。話自体も非現実的で軽い。

 でもこの非現実で軽い感じは、芝居的につくっているからかな。芝居ってとんでもないシチュエーションで見せることも多いですもんね。
 実際、今村ねずみらが出演しての芝居も今年2009年にやるらしい。今村ねずみについては下記リンクの「ATOM」関連をご覧ください。すげーやつですよ、ねずみ。

 でもね、なんだかんだと飽きない作品で、私は好きです。家で見るお気軽レベルならこれは本当にオススメ。もう劇場で公開されることはないだろうから、安心してオススメできる。

 個人的には、主要登場人物がもともと好きな役者ばかりなのもポイント高い。小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之。
 彼らは劇中では、サイトで知り合ったという設定ゆえに、本名でなくハンドルネームで呼び合う。この本名が不明という点も「12人」的であるが、それはともかくこのハンドルネーム、ユースケは「オダ・ユージ」と名乗っている。劇中の役割、すなわち刑事のように追求する者という記号でもあるが、単純にユースケの後ろにあるビッグネームの威を借りつつのファンサービスなわけで、私はその臆面の無さはわりかし好きですよ。

 登場人物にひとりでも好きな人がいれば、楽しい時間を過ごせるでしょう。

 “如月ミキ”、劇中顔がずっと隠されていたが、最終的には出るのか。うわあ、絶妙ー。ブスカワイイ加減がすごい適切。まさにD級。こんな(5人の)ファンもつくだろうよ納得する容姿である。
 実は、演じたその人が誰かというのはネット検索でわすぐかるが、まあそれは映画鑑賞後に、気が向いたら調べるくらいがいい。

 そうそう。エンディングの、スタッフロール時に登場人物5人で行われる、如月ミキのビデオを見ながらの振り付けは最高です。最高。私も仲間に入れてくれ。
 映画史上に残るすばらしいスタッフロールである。言い過ぎ。


関連記事→「交渉人 真下正義」「日本版『ATOM』を見て」「韓国版『ATOM』を観て」

映画「キサラギ」公式サイト
http://www.kisaragi-movie.com/
舞台「キサラギ」公式サイト
http://www.kisaragi-stage.com/

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2009年09月27日

閉園した動物園の話

■「到津の森の詩―市民の森・到津遊園が育んだ児童文化と環境教育」

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★★★★☆

 福岡県北九州市に到津(いとうづ)の森公園という動物園がある。
 到津の森、私としては世界一の動物園だ。一般的に言っても、現園長の岩野俊郎氏と旭山動物園の名誉園長・小菅(こすげ)正夫氏が数十年も親友であるという点、つまりお互いが認め合った者同士という点からも、到津の森のレベルの高さがうかがい知れる。

 到津の森はかつて到津遊園と呼ばれていた。
 1998年4月20日、西鉄「到津遊園」の廃園が発表された。
 西鉄とは西日本鉄道株式会社のこと、うまりバスやら電車やらを運営している企業だ。この西鉄の前身会社が沿線住民への社会貢献を目的に、1932年(昭和7年)に開設した遊園地(のちに動物園が併設)が到津遊園であった。
 到津遊園は、戦争をくぐりぬけた歴史を持ち、動物園のサマースクールとしては日本一古い「到津遊園林間学校」では、のべ5万人の子どもたちが学んだ。北九州市の真ん中に位置し、都心からも近く、にもかかわらず全国有数の照葉樹林を備えたこの市民のオアシスはしかし、近隣のレジャー施設の増加や施設の劣化、動物園人気の低下等々の理由から赤字を累積した挙げ句、西鉄そのものの財政まで圧迫し、2000年(平成12年)5月31日、閉園した。

 ところがだ、「到津遊園」は復活したのだ。2002年(平成14年)4月に、その名を「到津の森公園」と変えて市民の前に帰ってきた。
 到津遊園は大改装を行い、その歴史を内包したまま、まったく新しい市民の憩いの場となった。

 この復活劇を、その立役者である北九州インタープリテーション研究会が綴ったのが当書だ。
 こうした記録の場合、存続運動の推移や成果を滔々(とうとう)と語るものかと思いきや、書面のほとんどを到津遊園そのものの記録や成果に費やしている点が好感が持てる。
 そうか、だからこそ、あのコンクリート剥(む)き出しの檻の、旧態然とした動物園であった到津遊園なのに、その閉園が決まった途端、マスコミが動き、市民が立ち上がったのか。北九州市が施設を買い上げて存続を決定することができたのか。ああ、なんと住民に愛されていた動物園だったのか。そういうことがわかる。 

 異論反論あるだろうが、私は子どもたちのために動物園は必要だと断言する。絶対必要とは言わないが、少なくとも「今の日本」には、あったほうがいい。金の流れとか仕事のこととかを教えるより前にすることがあるだろう。
 いのちを感じ、考えること。いのちってなんだろう。私は誰だろう、私が存在しているってどういうことだろう。そもそも私が私と思っている「これ」はなんだ。
 我らヒトが生きるにあたりいちばん大事なこと。名誉とか金とか快楽とか、老化への忌避や死への恐れとか、そんな些細なことをすべて超越する大事なことについて、考える手がかりが動物園にはあふれている。なんか話がずれてきたか。

 しかしあれだな。好きな対象の過去(過去)を調べてひとりで納得して悦に入る。もう恋だな。てゆかストーカーか。盲目。
 

関連記事→「戦え動物園」

到津の森公園 公式サイト
http://www.kpfmmf.jp/zoo/


戦う動物園―旭山動物園と到津の森公園の物語 (中公新書)戦う動物園―旭山動物園と到津の森公園の物語 (中公新書)
島 泰三

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21) 動物園にできること (文春文庫) 旭山動物園園長が語る命のメッセージ 旭山動物園の奇跡 旭山動物園のつくり方 (文春文庫PLUS)

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タグ:動物 到津

2009年09月24日

少年(BlogPet)

きょうゴンは、少年マンガ上映された。

*このエントリは、ブログペットの「ゴン」が書きました。

2009年09月20日

動物園巡りはキリがない

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★★★☆☆

 直木賞作家・乃南(のなみ)アサが、毎日新聞の日曜版に連載していたという動物園と水族館の周遊記をご紹介。

 乃南アサは私が好きな小説家の一人だ。いや、私は小説はあまり読まないので、名前を覚えている数少ない小説作家の一人と言ったほうがいいか。
 昔、実家の食卓に無造作に置かれていた「6月19日の花嫁」と「凍える牙」を読んだらおもしろくっておもしろくって、。フィクションものばかり読んでた私がしばらくフィクションばかり読むことになりましたとさ。

 さて本題はエッセーだった。「いのちの王国」。大の動物好きの作家(らしい)・乃南アサが東西南北18の動物園・水族館を巡り、まとめたエッセーだ。動物写真も満載で気楽に読める。特に大阪市天王寺動物園のカバの写真はすごい。カバ2頭が水中を歩くシーンなのだが、カバが地面から浮いてんの、軽そうなの。天王寺、行きてー。

 内容は、動物をそれぞれ「かけがえのないいのち」と捉え、ちょっとした感動のエピソードとともに語るというスタンスで、非常に一般向けで読みやすい。
 母親キリンが骨折した我が子に食事も取らず寄り添い衰弱死した。しかしその子はその後義足をつけ3ヶ月間生き抜いた。尾びれを損傷し失ったイルカが、人工尾びれをつけ、イルカショーができるまでに回復した。
 いずれもテレビで報道されたことがある話だったと思うが、こういった心あたたまるエピソードが散りばめられ、動物の生を通して人間の在り方を問うている。もちろん説教臭い言い回しではなく、さすが作家、物語を読むかのようにすんなりと受け入れられる語り口で心地よい。

 心地よいが、私には少し期待はずれだったというのが、実は読み始めたときの正直な感想である。
 動物を語るにお涙頂戴はいらない。擬人化する必要はない。
 動物の営みを人間の尺度・感情に当てはめて語るのは私は苦手だ。この本の場合はもともとが新聞連載で、つまり人が生活の中で、食事を取り、テレビでも見ながら、本気で活字に臨む姿勢でないときに読むものだから、ある程度読みやすい形式、つまり物語化が有益であることはわかる。そういう視点で見ると、物語を紡ぎながらも充分に感情を排して理性的だ。理性的だが難解でない。さすがとしか言いようがない文体で、硬軟見事なバランスだ。あれ、誉めてら。

 ともかく、ちょっと批判的な目で読んでいたが、海響館(山口県下関市の水族館)のエッセイで目から鱗が落ちた。
 そこは私の地元近くにある幾度か足を運んだことのある水族館で、展示の目玉に「関門海峡潮流水槽」という展示がある。窓の向こうに実際の関門海峡が見える水槽で、その中には波が起き、潮が渦を巻く。この展示には、眼前だけでなく頭上にも水槽が広がる場所(トンネル)があるが、そこにイワシの群れがきらめくのだ。壮観である。イワシなのに。でもここまでは私も知っている。問題はそのあとの記述だ。

 「しばらくの間眺めていたら、水槽の下の方にいたエイが、(中略)イワシを見事な素早さで捕らえるなり、自分の身体でトンネルの天井に押しつけた。(中略)やがてエイは少しずつ身体を移動させて、そのイワシを口元に持っていくと、頭から食べた。」

 うわああああ! 食ったんかー!? 私ってば何も見てなかった・・・! 乃南さん申し訳ありません。私は海響館の、魚の、動物の何を知った気になっていたんだろう。乃南さんのほうがよっぽどしっかりと動物を見つめていた。動物はどんな環境にあろうが独立したいのちだ。そしてそのいのちは常に自然の歯車にガッチリはまっている。いのちは巡る。
 このエピソード一つで、この本は私の宝物となりました。
 

 ちなみに、乃南さんが巡った18の園は次の通り。
 秋田市大森山動物園;富士サファリパーク;沖縄美ら海水族館;よこはま動物園ズーラシア;旭川市旭山動物園;多摩動物公園;鴨川シーワールド;千葉市動物公園;大阪市天王寺動物園;海遊館;到津の森公園;しものせき水族館 海響館;アドベンチャーワールド;神戸市立王子動物園;宮崎市フェニックス自然動物園;名古屋市東山動植物園;新江ノ島水族館;東京都恩賜上野動物園

 そうです、「到津の森公園」の名があったから買いましたー。飽きねえな私も。


6月19日の花嫁 (新潮文庫)6月19日の花嫁 (新潮文庫)

凍える牙 (新潮文庫) 結婚詐欺師〈上〉 (新潮文庫) 結婚詐欺師〈下〉 (新潮文庫) 冷たい誘惑 (文春文庫) 涙 上巻   新潮文庫 の 9-15

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2009年08月26日

容赦されたみたい(BlogPet)

きょうゴンは、容赦されたみたい…

*このエントリは、ブログペットの「ゴン」が書きました。

2009年08月16日

帰ってきたか? パンダP

■アンタッチャブル柴田英嗣の日本一やかましい動物図鑑
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★★★☆☆

アンタッチャブル柴田英嗣が、自身のブログで掲載している動物ネタを加筆修正してまとめたもので、つまりはお笑い芸人による動物うんちく本である。なんだその取り合わせは。

アンタッチャブル柴田と言えば、もはや動物番組には欠かせない。むしろ柴田が出ていない動物番組など見るに値しない。
動物番組というものの多くは、ペットの愛嬌や動物園の動物の客寄せ芸を見せて、「やーんかわいー」だの「頭いい!」だの動物を人間の基準で上から目線で評価するだけだ。少し真面目に野生を捉えてる風でも、「残酷だけど、生きるためにはしょうがないってわかってるけど、でもかわいそう」と言ったり。全然わかっていない。
幼児の感覚としてはそれでかまわないのであろうが、テレビに出てるのはみんないい歳の大人だろ。番組での役割分担はあってしかるべきだが、全員が同じ役割なのはどういう了見だ。

そこで柴田英嗣である。
動物ってすげえ、動物ってかっこいいんだよ、知ってる? 本当にわかってんのか!? というスタンス。いわばスポークスマンだ。いや広報部長か。
その知ってる?のレベルが唐突でマニアック。マジで? まさか。嘘のような本当の話。私たち素人でも「動物ってあなどれない」と絶句するわかりやすい驚異。

たとえば本文からの抜粋。(正確には下記はブログ記事からの転載。)

--------------------------------

あとサイは、目がめちゃくちゃ悪い。
だから、敵がいたらとりあえず突進して、
ぶつかってから、なんだったか考える。だって

バカか!!

発想がバカだよ。
痛い可能性あるよ。
実際、列車に突っ込んで死んでしまった、
なんて話あるしね・・・つーか

列車は判れよ!!

お前それはダメだぞ。
列車に勝てるかどうかぐらい、判んねーかな?
「あれは、硬かったっすねー」
じゃねーぞ!本当!

因みに、目が悪いから、鼻がよく利き、
耳がラッパの様な形に進化した。だって

目ーなおせ!!

進化する力で治せたんじゃねーのかよ!
どこかで補わないで治せよ。
そこらへんずれてんだよなぁー。

不便だね、とか思ってたら、
夜行性なんです。だって

見えんのかよ!!

お前が、見えねーつーから気にしてりゃ
なんだそりゃ!

「いや耳が良いんで。」だって

やかましいわ!!

--------------------------------

動物の「ボケ」に柴田が「ツッコミ」するという設定なんですね。
柴田にすれば、動物のおもしろ生態は、つまりそれボケてんだろう? ボケてんならつっこまないと!! ということらしい。
もちろん、どんなにバカバカしい内容でも、それは現在の学説に基づく信頼性の高いものだ。

彼の動物観、動物園観は、実は根本は旧来の「上から目線」の延長上ではあるが、動物が好きで近づきすぎて、結果としてほぼ動物と同じ高さになってしまっている。ミイラ取りがミイラになるってこういうことを言うんだろうな。違うけど。

素直におもしろい本であった。
お笑い本としてはよくわからんが、動物本としてはおもしろい。正直物足りない部分はある。学術的なデーター面の不足とか。でもそんなのは一般的な図鑑見ればいいし、なにより動物園に行けばいい。そもそもお笑いありきの本だ。多分。
とはいえ、動物をこんなにナナメから見て、その魅力を抽出した本って今まで読んだことがない。しかもその魅力ってのが、他の本では、あまり書いていないことばかりである。
動物好きにはおもしろい本ってのは数あれど、誰が見てもわかりやすくおもしろい動物本ってのは珍しい。

表紙デザインはいただけないけどな。


関連記事→「おつかれパンダちゃ〜ん(・(⊥)・)/」

アンタッチャブル柴田英嗣の平穏な僕(blog)
http://ameblo.jp/yakamashii/
TBS RADIO 954 kHz「JUNK アンタッチャブルのシカゴマンゴ」(愛聴してます)
http://www.tbs.co.jp/radio/format/sikaman.html

動物検定[一般常識]公式ガイドブック (アニマルプラネット動物検定シリーズ)動物検定[一般常識]公式ガイドブック (アニマルプラネット動物検定シリーズ)
今泉忠明

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2009年07月14日

演出(BlogPet)

むつみと、演出した。

*このエントリは、ブログペットの「ゴン」が書きました。

2009年06月16日

趣味は観劇など少々・・・

江戸の青空〜Keep On shackin'〜」観劇記のつづきです。


芝居とは、生身の人間が目の前で演ずることだ。
生身だから寸分の狂いもない再現なんてできない。そんな1度きりのはかない存在を愛でるのが観劇。大量生産のできない一品物。この贅沢はやはり貴族の特権かもしれない。

そして、この生身の人間が演ずる点が芝居のいちばんの醍醐味である。
どんな映画もテレビドラマも、予定された以外のハプニングは起こりえない。芝居は違う。

先日観た「江戸の青空」も、松尾貴志を筆頭としたアドリブか台詞かわからないやりとりや、小道具が壊れるハプニングなどあって、そういう危うさが魅力のひとつだった。
実際、小道具が壊れたハプニングなどがあり、そのあとの「マ、マリちゃーん」「明日の昼までになおしといて」「誰だよマリちゃんて」(たぶん小道具のスタッフ)的な焦ったり苦笑したりのやりとりが、とってもおもしろかった。どんな不測の事態も演出として取り込む役者のすごさを垣間見た。

実はハプニングと見せかけた演出なのかもしれないが、一度しか観ない僕には本当はどうかわからない。しかしたとえ演出でも、それを本当として消費できるのが芝居のいいところだ。

映画やテレビドラマはどんなに尖って見えても、所詮事前の編集や映倫等の承認を経たものである。予定調和だ。

芝居は、舞台芸術は、どれだけお偉方が制御したって、舞台に出たら役者に任すしかない。裸になろうが人を殺そうが、抑えつけられる瞬間までは公衆の面前で遂行される。これほどの無謀があろうか。そりゃあ目が離せないって。

だから芝居を観ているとき、舞台の外のことまで気が回らない。余計なこと考えてると何かが起きたとき見逃しちゃうよ。何かが起こりうるのが芝居なんだから。
逆に映画やテレビは安全なことしか起こらない。安全なんだから観る側は観てる最中も余裕がもてる。おまけにカメラで役者の顔のアップなんかも多用される。すると役者自身のイメージが役柄に影響しやすくなる。
そういうわけで素顔や私生活の提供が芸能人の重要な仕事となる。トーク番組とか旅番組、ワイドショーが安泰なわけだ。

私は役者のプライベートとか一切どうでもいいと思っている。だって仕事の話やよ。
演技が上手かろうが下手だろうが、でもこんなに一生懸命なんだからいいじゃない。でも実はいい人だし。って知らねえし。私が見たいのは演技の結果作り上げられるドラマであり芝居だ。人柄など二の次だ。
プライベートを仕事に持ち込むのは卑怯だとすら思う。持ち込みたくなくても暴かれたりする人もいるのか。そっちはゴメンナサイ。

役者って本当にすごい。特に舞台俳優は毎日危うい橋を渡っているのである。何が起こるかわからない毎日。そう役者って冒険者たち。いやん、格好いい。そりゃあ所得多くていいよ。危険手当だ。
芝居はいつだって命懸け。いつだって真剣勝負待ったなし。他人の崖っぷちを鑑賞するという観劇というこの芸術、実はとんでもなく野蛮な娯楽かもしれませんねマダム。

でも他人の野蛮を高みから鑑賞するというのは、やっぱり貴族の特権だボンヌ。


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posted by ごん at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする