2010年03月16日

津川雅彦はスルーしますた

■「親が子供に伝えたい「環境」の授業 ――命はつながっている」

親が子供に伝えたい「環境」の授業  ――命はつながっている親が子供に伝えたい「環境」の授業 ――命はつながっている

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★★★★☆

 映画「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」の監督・津川雅彦と旭山動物園園長(当時)・小菅正夫の対談本です。
 そのタイトルや装丁からいま流行りの「エコ」的な内容についての本かと思ったら思いっきりいつもの旭山動物園本でした。つまり「命」とはなんぞや。野生動物とは何か、地球という自然の中で生きるとはどいういうことか。

 実は内容にはまったく期待していませんでした。
 なにしろ映画がつまんなかった。その映画の監督である津川雅彦が何を言おうと知ったことか。最初からそういう態度で読んでいたわけで、失礼な話です。役者としては大好きなんだけどなあ津川さん。まあいいか。

 実際、対談は津川雅彦が感情的な思い込みの強い発言を繰り返すんです。小菅氏の発言と脈絡なく日教組批判とかね。
 それでもこの本は読んでよかった。小菅氏の言葉の一つ一つがどしんと響く。


・自然界はすべてなんらかの動物によって占有されている空間である。

・自然界に「弱肉強食」は存在しない。向こうから相手が来たらこちらはよけるという関係である。

・ペットを放すと在来種を駆逐してこの関係を壊す。ペットを捨てることは殺すことよりひどいこと。

・人間は、一見可愛くて、人間に直接悪影響がないと思いこんでいる場合は動物の味方をするが、自分に危険が迫ると違った判断をする。礼文島でエキノコックスが流行ったとき「島にいるイヌを一匹残らず始末してくれ。」と住民は主張した。

・「野生動物が絶滅してなぜ困る?」と質問した若手医師がいた。命は連綿と繋がっている。人間も動物ももとは同じ生物だった。それがいつか枝分かれした。もともとが同じ私たちの一方が価値があって、もう一方が価値がないと考えるのはなぜか。実は命のことについてこれまで考えたことがなかったからじゃないか。

・生態系はジグゾーパズルのようなものだ。一つ一つのピースを見てもその役割はわからないが、全体を当てはめたらピタリひとつになる。ピースの一つ一つが安定した生態系に寄与している。パズルのピースが1個抜けたら絵にならない。

・人間のピースだけが大きくなっているなら単純でつまらない1枚絵だ。1枚だと火が付いたらぜんぶが一気に燃える。

・生きているものは汚くない。生きているということはバイ菌と共生しているか戦っているかのどちらか。つまり自分がどれだけ「汚い」か。

・動物の好き嫌いは子どもに伝染する。とくに母親は子どもの前では嫌いな動物にも平然と接すること。「嫌いの連鎖」を断ち切ることが命を大事にし、他人を思いやる心を育む。

・嫌いな理由の多くは「わからない」「なんとなく」「生理的に」というもの。よく知ればたいがい嫌いじゃなくなる。人間関係と一緒。

・チンパンジーやヒトにとって生殖は本能じゃない。生まれてから学べる可能性のあるものは、本能から削除されている。本能を減らすことでできる遺伝子の空白部分が多くなるほど、新しいことを書き込める。

・人間は異端を認める唯一の動物である。これが叡智だ。



 小菅氏は本書の最後で「動物園が地球を救う」と言いました。私はこれは言い過ぎだとは決して思わない。
 私自身も、たまたま、本当にたまたま北九州市の片隅にある到津の森という動物園の年間パスポートを買ったことで、動物に興味を持ちました。やがてその興味は彼らの生きる場所の植物や、そこで生きるムシに広がりました。
 そしていまや世の中のすべてが、路傍の雑草だって興味の対象となって、いつもどこでも楽しくてしょうがない。通勤中も夢の世界にいるかのよう。起きれ。

 この素晴らしきおもしろ世界と、私はずっと付き合っていきたい。
 小菅氏の「動物園が地球を救う」って、たぶん、こんな気持ちになれる場所ということなんでしょうね。毎日楽しいよ。


関連記事→「戦え動物園」(おもしろすぎる動物本紹介)「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」(映画感想)

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この記事へのコメント
きのうゴンが、連綿は共生するはずだった。
だけど、ゴンが旭山動物園園長関連するつもりだった。
でも、味方された。
でも、ゴンは、始末しないです。
Posted by BlogPetのゴン at 2010年03月17日 15:24
いつの日か、コレを嫌いじゃなくなる日は来るのですか?

伊坂幸太郎の『砂漠』を読んだらアナタを思い出しました。
なんてことは、まるでない。


Posted by り。 at 2010年03月18日 20:58
意外に大丈夫でした。
でも見るだけ。
Posted by ごん at 2010年03月24日 09:07
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